インターネット回線のレスポンス低下はなぜ起こる?

今年はCOVID-19(新型コロナウイルス)の流行による緊急事態宣言の 発令により、皆さんも在宅勤務を余儀なくされた方が多いのではないでしょうか。

在宅勤務をする機会も高くなり、オフィスへ出社して勤務する場合と比べて 自宅にて勤務する際に”PCモニタのサイズ、デスク周りの作業環境、インターネット回線の速度”...etc など気に掛かることが多々あります。

特にインターネット回線は在宅勤務を行う上で重要なインフラですが、レスポンスが著しく悪く、業務効率が下がったり 自宅の回線速度に対して新たなストレスを感じる方も増えているかと存じます。

皆さんのオフィス内のインフラ環境にもよりますが、大抵は自宅のインターネット回線と 社内向けインターネットVPNを経由して業務を行っているのではないでしょうか。 果たして我々の利用するインターネット回線が遅くなる要因は何処に潜んでいるのでしょうか。

レスポンス低下の主な要因

主なレスポンス低下の要因として下記が挙げられます。

  • 自宅で使用するルータやケーブルのスペック不足(LANポートの規格など)
  • 社内LANへ接続を行うVPN装置のキャパシティオーバー(VPN装置の最大接続数を超える接続など)
  • インターネット回線の帯域不足...etc

大きく影響を与える要因を記載いたしましたが 我々が通信を行う経路は、様々な機器や配線により構成されております。 先に述べた要因以外にも、レスポンス低下を引き起こす要因は潜んでいると考えた方が良いです。

昨今はインターネット回線の利用者のITリテラシーに問わず、テレワークに使用するアプリ(ZOOMやTeamsなど映像ストリーミングを行うもの)や Youtubeなど使用されるようになり、昼夜問わずに大容量のデータ通信を行うようになりました。 そのためインターネット回線は高トラフィック状態になり、今まで感じなかったレスポンスの低下を余儀なくされている状況です。

ユーザ側で対処出来ない要因

今回はユーザー側で対処できる設備増強やリプレースで解決に至らない、インターネット回線の帯域不足について どのように発生しているかを簡単に説明いたします。事例としまして個人のみならず法人回線でも 利用されるNTT東西フレッツ回線を挙げてみましょう。

そもそも我々の利用するデータはインターネットへ抜けるために、どのようなところを通って 通信がなされているか簡単に構成図(*1)にて記載いたします。

<構成図>

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構成図

記載した構成図の中でボトルネックとなっているのが”プロバイダ網終端装置”と呼ばれる装置です。 この網終端装置はNTTの局舎に設置されており、プロバイダ(ISP)との接続点となっております。

それならボトルネックの”網終端装置を増やせば良いじゃないか!”と仰る方が多いと思います。 しかし何故かボトルネックの網終端装置の輻輳(混雑)は解消されていません。

何故かというと網終端装置を増設する基準と、ISPの設備を増設する基準が両社で全く違うからなのです。 NTTはセッション数に応じて、ISPはトラフィックに応じて増設など対処を行っているようです。 そのため、慢性的に高トラフィック状態になっても、セッション数が一定数を超えない限りは 網終端装置の増設を要件を満たさないといった状況です。

いくらISPが設備増強してもNTT側の接続点の口が細ければ輻輳していまいますね。

改善する方法は

回避策としてIPoE方式(IPv6)にて接続を行えば網終端装置を介さず、インターネットへ抜けることが可能となります。 ただし、この方式を利用するためにはルータなどの接続機器もIPoE接続に対応していることが前提です。 今後はPPPoE接続からIPoE接続へ移行が進み、主流となっていく事でしょう。 余りにもPPPoE接続でのレスポンス低下が酷いのであれば、接続方法を見直す方が早いかもしれません。 今のところユーザ側が対処できる改善策はそのくらいでしょうか。

ちなみにNTT側も対処を進めている

先に挙げたIPoE接続にも10Gbitインターフェースに対応した設備を導入しており この10Gbitインターフェース設備をPPPoE接続の網終端装置にも導入する予定(*2)だそうです。

10Gbit対応の回線(フレッツ光クロス)など一部地域では供用が開始されていることから 社会インフラとして1Gbit⇒10Gbitへの増速が期待されます。 もう少しの辛抱でインターネット回線の輻輳から脱却が出来るかもしれません。

仕事を進めるうえでも今まで以上の成果や効率を求められる時代ですから、レスポンス低下が起こらない インフラ環境が整備されることを心より願います。

(1)現在一般的に利用されているPPPoE接続の構成です。 (2)どちらもNTT東西から総務省へ認可申請しています。前者は令和2年1月、後者は令和2年6月。

★参照 網終端装置の増設基準について https://www.soumu.go.jp/main_content/000478907.pdf https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1902/19/news013_2.html https://www.jaipa.or.jp/information/docs/180411_2.pdf

★参照 網終端装置の10Gbitインターフェース認可申請 https://www.soumu.go.jp/main_content/000692908.pdf