コーポレイトIT室とは?

初めまして&お久しぶりです。Usekです。 昨年度まではTechnology&Design部のSREチームに所属し、カラフルバレットの記事更新も行ってきました。 現在は、バレットグループの体制変更により4月に新設された「コーポレイトIT室」に所属しています。 今回はこのコーポレイトIT室について自分なりに考えていることを書いていきます。

コーポレイトIT室 = 情シス?

私が組織変更でSREチームからコーポレイトIT室に転属することを知らされた時、真っ先に思ったのは「要するに情シスなのでは?」でした。 情シスというと「壊れたパソコンを修理に出す」とか、「従業員から依頼されてパスワードをリセットする」とか、自分が長年生業としてきたシステムエンジニアリングと毛色が違うと思いました。 果たしてそれは自分のやりたいことなのだろうかと不安になりました。 しかし調べた結果、コーポレイトIT室は私の想像していたイメージとかなり異なることが分かりました。

そもそも「コーポレイトIT室」という用語は弊社が勝手に定めたフレーズではありません(世間的には「コーポレトIT室」のようですが😅)

こちらはLINEさんの記事。 【LINEのなかみ】コーポレートIT室&IT戦略室の仕事を紹介します : LINE HR BLOG

社内ポータルに公開されている紹介文には、「LINEグループのIT業務に関わる戦略立案・企画・開発・運営」と記載しています。要はLINEグループが業務を行い、成長するためのシステムを担う部門です

こちらはnoteさんでコーポレートITエンジニアとして働いている方の記事。 コーポレートITという仕事(一般論編)|ヒガシ note inc.|note

コーポレートITは様々な仕事を領分とするので、要求されるスキルも多様です。 コーポレートITは元々ITエンジニアとして開発をやっていた人がほとんどです。僕もそうですし、前職の上司も先輩も部下もかつては開発をやっていました

上記の記事の後編にあたる「自らの志向編」には非常に感銘を受けました。 「僕もこれまでの自分の経験を活かし、コーポレートIT室メンバーとして頑張ろう」という気持ちになりました。

また、私の疑問そのものズバリのタイトルの記事もありました。 情シスとCorporate IT、何が違うの? Web系巨大IT企業4社が語る、社内システムエンジニアの仕事 - ログミーTech

この中で紹介されていた「情シスとコーポレートITの比較」の図は、情シスの定義が自分のイメージと合致していたため、コーポレートIT室に求められているものもはっきり見えるようになりました。

Corporate ITは、レガシーシステムの数は少なめです。インターネットがないと呼吸ができない人たちが大量にいます。クラウド利用は大前提で、クラウドファーストについてことさら言うまでもないという感じです。比較的内製志向が高く、自分たちでやる、ないしは人が足りないので中々できないけどやりたいという意思はある感じの方が多いです

コーポレイトIT室は次に紹介する体制図のように、情報システム部門を内包します。 その上で情報システム部門が従来おこなってきた業務もクラウドを利用して内製するなど、よりソフトウェアエンジニアリングに重きを置いた組織と考えています。

コーポレイトIT室の体制

コーポレイトIT室は以下のように構成されています。

  • R&Dチーム:技術検証を主業務とし、社内の技術関連課題を解決
  • ブランディングチーム:コーポレイト関連のアートディレクションおよび実制作
  • 情報システムチーム:業務で利用するPCやWebサービスの選定・メンテナンス・運用のサポート
  • スペシャルミッション:将来の新サービスに向け特別な研究開発を外部で進行

私はR&Dチームに所属しています。

なぜコーポレイトIT室が作られたのか

「バレットグループが大きくなったから、そして今後さらに大きくなっていくため」だと考えています。 バレットグループ株式会社は来年で設立10年を迎えます。 4名でスタートした弊社も現在では200名超の仲間と共に多様なビジネスを展開しています。 拠点も本社の他に仙台支店、新潟支社、江田島ラボと拡大しました。 会社の規模が大きくなることは嬉しいことですが、大きくなるにつれて様々な問題が生じてきました。

  • 各事業部で業務利用しているサービスがばらばらで管理統制できていない、そもそも情シスが把握していないサービスを利用しているケースがある
  • 各事業部の業務内容が見えづらくなった。安全安心に業務を行えるよう会社が定めたルールを全事業部に対して適応したい
  • メンバーと関連会社が増えたことに加え、リモートワークの普及によりメンバーの横の繋がりが薄くなった

今までと同じ体制で業務を遂行していては問題を解決することはできず、新たな対処が必要となります。 部署設立時の全社向けアナウンスでは、コーポレイトIT室が「解決すべき問題」について以下の4つが挙げられていました。

  1. プロダクトおよび情報システムの安定した運用
  2. ビジネスを取り巻くIT環境の変化へのすばやい対応
  3. 技術人材のスキルおよびコミュニケーションの維持向上
  4. ビジネスサイドと技術サイドのコラボレーション促進

以下私なりの解釈となります。

①プロダクトおよび情報システムの安定した運用

サービス規模が大きくなるにつれ責任も重くなります。サービス停止やセキュリティ事故によるリスクも高くなります。 システムを安定稼働させることで従業員の負担を減らし、サービスの信頼性を守る必要があります。 そのためにはシステムを安定して稼働させるインフラ構築を実現するためのガイドラインの作成と、障害発生時に迅速に対応できるフローが必要です。これらのガイドラインの作成がコーポレイトIT室の役割の一つです。 また、セキュリティの課題について情報を収集・自社サービスに影響がないか調査検証することも重要な役割になります。

②ビジネスを取り巻くIT環境の変化へのすばやい対応

コスト削減、業務効率の改善、セキュリティ強化、企業の成長発展のためにICTが必要となります。 今年だけでもこれまでの私たちの常識を覆すさまざまなテクノロジーが発表されました。

gigazine.net

www.publickey1.jp

www.itmedia.co.jp

forest.watch.impress.co.jp

こうして振り返ると、2022年はAI技術が普及した1年と言えそうです。 既存事業の改善や新規事業のアイディアに活かすために新技術を積極的に検証し、良いものについては既存サービスや新規プロダクトに取り入れていかなければいけません。 既存サービスに対して業務を遂行するプロフィット部門とは別の部門がこの業務を担当する方が機動力があります。 バレットグループがこの先成長し続けるためにも、コーポレイトIT室の責任は重大です。

③技術人材のスキルおよびコミュニケーションの維持向上

社内のコミュニケーションを活発にし、エンジニア間のコラボレーションを促進させる必要性はどこの企業も感じているようです。 また、バレットグループの成長のためには技術に加えて、その技術を活用できる優秀なエンジニアが必要です。 素晴らしいエンジニアをバレットグループに迎えるために、人材採用にエンジニアの観点からよりコミットしたいと考えています。

④ビジネスサイドと技術サイドのコラボレーション促進

ビジネスニュースを見ていて「DX」という言葉を聞かない日はありません。 ビジネスサイドがビジネスのプロフェッショナルであるように、技術サイドはエンジニアリングのプロフェッショナルでなければなりません。 プロフィット部門のコスト削減や・品質改善・トイル*1の撲滅などを行い、メンバーが本来の業務に注力できるようにすることで会社の利益に貢献します。 「コーポレイトIT室はコストセンターだから・・・」と言われたくないという思いは強いです。

私の業務

このように、コーポレイトIT室は広範かつ重要な業務を行います。以下は私がコーポレイトIT室で実施した業務の一例です。 セキュリティ関連の業務が目立つかもしれませんが、これは私が”情報処理安全確保支援士”(通称”登録セキスペ”)であることも起因します。 セキュリティのスペシャリストとしての役割が特に期待されていると考えているため、不足している施策を思いついては対応しています。

  • 従業員のセキュリティレベル把握のため、e-learningの結果をGoogle Colaboratoryを用いてデータ分析
  • ゼロトラストセキュリティを導入するための手順の作成と利用するソリューションの選定
  • 従業員のセキュリティ教育方針の決定
  • セキュリティ啓蒙のためのプレゼン資料と動画の作成
  • 提供サービスのSLOの策定
  • 地方拠点のネットワーク機器を収納するラックの組み立てとラッキング
  • 上記タイミングで地方メンバーに業務内容をヒアリング&業務改善ツールの作成
  • 沖縄バックアップセンターからAWSへのデータ復元手順の改良
  • グループメンバーが横断して交流できるコミュニケーションツールの導入と社内への宣伝
  • エンジニア向け社内勉強会の実施
  • 🆕カラフルバレットの記事更新

「コーポレイトIT室はバレットグループの技術のハブになる」を口癖としています。その実現のためにはコードも書きますし、クラウドも触ります。ただデザインは範囲外。 しかしコーポレイトIT室にはカラフルバレットをデザインリニューアルしてくれたmaripigさんがいます。maripigさんはHTML/CSSのようなコーディングだけでなく、イラストや動画の作成もどんと来いなのです。いつも助けてもらっています(今回の記事でもサムネイルとなる画像を差し込んでいただきました🙏)

コーポレイトIT室はこれからもメンバーで力を合わせてバレットグループの成長をサポートしていきます。コーポレイトIT室の活動を社内にもっと周知して、バレットグループの”技術の駆け込み寺”と認知して欲しいと思っています。

*1:手作業、繰り返される、自動化が可能、戦術的、長期的な価値がない、サービスの成長に比例して増加する、といった特徴を持つ作業のこと。元々はSRE用語